コラム

資格の誕生背景からドローンが広げる可能性まで。
ドローン飛行の基礎知識を身につけよう。

ドローンは趣味やビジネスで活用できる魅力的な機器ですが、安全に適切に扱うためには、ドローンを巡る一連の知識として法律やルール、また民間資格や国家資格について知っておくことが重要です。この記事では、ドローンを飛行させるための基礎知識として、法整備の背景から資格の概要、ドローン飛行の注意点などを幅広く解説していきます。

ドローン飛行を巡る環境整備

ドローンは人を乗せずに遠隔操作や自動制御で飛行できる航空機です。ドローンは趣味や産業用、災害対策など様々な用途で利用されていますが、同時に事故や事件のリスクも伴います。そのため、ドローンの飛行には法律や条例によって制限がかけられています。

ドローンの法整備が進む

ドローンの資格制度が整備されたきっかけの一つは、2015年4月22日に発生した首相官邸無人機落下事件です。この事件では、放射性物質を搭載したドローンが首相官邸の屋上に落下し、テロの可能性が指摘されました。この事件を受けて、ドローンの飛行に関する法整備の必要性が叫ばれる様になり、それを受けて2015年12月に施行された改正航空法によって、ドローンの飛行ルールが制定されました。

例えば、空港等の周辺空域や150m以上の上空、⼈⼝集中地区の上空は飛行禁止空域となり、飛行許可なしではドローンを飛ばすことができません。また、夜間や⽬視外での⾶⾏、催し会場の上空では飛行承認が必要とされるようになり他の航空機や⼈、物件との安全距離を確保することが求められることになりました。当然、アルコールや薬物等が影響する状態で⾶⾏させることはできません。この様に、飛行に際して国土交通省の許可や承認が必要となる空域、方法での飛行を「特定飛行」といい、飛行によるリスクに応じてカテゴリI~カテゴリIIIに分類されます。

さらに、2016年に開催された小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会の中で「無人航空機の利活用と技術開発のロードマップ」案が示され、ドローンの飛行条件や飛行方法によって、後述するレベル1~レベル4までのレベル分けによる分類が行われました。

また、2022年6月20日からは、無人航空機(ドローン・ラジコン機など)の機体重量(バッテリー含む)が100g以上のものについて、国土交通省への機体登録が完全義務化。登録はインターネットもしくは書面での申請が可能で、登録は3年間有効です。登録しない限り同機体を飛行させることはできません。登録せずに飛行した場合は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されることとなりました。

ドローンの安全運行につながる法体系が整備されるに従い、ドローン操縦者も自由に好きな場所でドローンを飛ばすのではなく、それぞれの飛行がどのカテゴリによって規制されるのかをしっかりと把握し、求められる手順を踏んで飛行する必要があります。

飛行レベルについて

日本国内のドローンの飛行レベルとは、ドローンの飛行条件や飛行方法によって分類されたレベルのことです。政府は2020年代前半から有人地帯(第三者上空)での目視外飛行(レベル4)による小型無人機の利活用を本格化させることを目標にしています。それらの目標を達成するために必要となる技術開発と環境整備を、国際的にも連携しながら、官民が一体となって進めています。

レベル1:目視内での操縦飛行

  • ドローンを目視できる範囲内で操縦する飛行です。
  • 無人地帯・有人地帯いずれも飛行が可能です。
  • 飛行許可・承認が必要な場合があります。
  • 例:農薬散布や映像撮影など

レベル2:目視内での自動・自律飛行

  • ドローンを目視できる範囲内で自動・自律的に飛行させる飛行です。
  • 無人地帯・有人地帯いずれも飛行が可能です。
  • 飛行許可・承認が必要な場合があります。
  • 例:空中写真測量やソーラーパネルの設置点検など

レベル3:無人地帯における目視外飛行

  • ドローンを目視できない範囲で飛行させる飛行です。
  • 無人地帯(第三者上空)でのみ飛行が可能です。
  • 飛行許可・承認が必要な場合があります。
  • 例:離島や山間部への配送、河川測量など

レベル4:有人地帯における目視外飛行

  • ドローンを目視できない範囲で飛行させる飛行です。
  • 有人地帯(第三者上空)でも飛行が可能です。
  • 飛行許可・承認が必要な場合があります。
  • 例:都市の物流や発災直後の支援など

これら飛行レベルのうち、飛行の可否、飛行方法の許可・申請の有無等によってはカテゴリーⅠ~Ⅲの区分が設定されています。飛行レベルとカテゴリーの区分によって飛行できる範囲が定められています。

国家資格の誕生

2022年12月5日から、国家資格としてのドローン免許制度が導入されました。この制度では、国土交通省が指定する試験に合格することで「無人航空機操縦者技能証明書」を取得できます。この証明書は、「一等無人航空機操縦士」と「二等無人航空機操縦士」との2つに区分されています。

国家資格を取得することで、⾶⾏許可・承認が不要となる⾶⾏条件が拡⼤されま す。例えば、⼀等無⼈航空機操縦⼠であれば、第一種機体認証を受けた機体を使用し、飛行の申請・許可を経て⼈⼝集中地区の第三者上空でも⾶⾏させることができます。また、⼆等無⼈航空機操縦⼠以上であれば、第二種機体認証を受けた機体を使用した場合、立入管理措置を行った上での話にはなりますが、申請の不要な特定飛行を行うこともできます。夜間⾶⾏や⽬視外⾶⾏も可能となります。
※夜間と目視外は別途、制限解除の試験を受ける必要があります。

この運用によって、上述のレベル4に該当する飛行が可能となり、ドローンが社会インフラの一部を担う様になるなど、これまで以上に快適で安全な社会実現に近づくことが期待されています。

民間資格と国家資格

さて、ドローンの環境整備が進む中でも、ドローンを飛ばす上では免許や資格は必須ではありません。

ただし、業務で利用する場合はもちろん、趣味でドローンを飛ばす場合でも、法令を遵守し、安全管理に努めた飛行が求められることに変わりはありません。その様にして、実質的には必要となる知識やスキルを体系的に、経験豊富なプロの講師から学べ、それを証明できる仕組みの1つが民間資格と言えるでしょう。

民間資格を取得するメリット

法規制や安全知識を学べる

ドローンを飛ばすには航空法や無線法などの法律や条例を守る必要があります。また、事故やトラブルを防ぐためにはドローンの事前点検や飛行コースの設計などの安全管理も重要です。民間資格では、これらの法規制や安全知識を学ぶことができます。

インストラクターから操縦技術や知識を学べる

ドローンスクールでは、経験豊富なインストラクターからドローンの操縦技術や知識を直接教わることができます。インストラクターは、ドローンの種類や特徴、操作方法やコツなどを分かりやすく説明してくれます。また、実際にドローンを飛ばしてみて、インストラクターからフィードバックやアドバイスをもらうこともできます。

操縦技術の証明書になり社会的な信頼を得られる

ドローンスクールでは、講習を修了した後に民間資格の証明書が発行されます。この証明書は、ドローンの操縦技術や知識を持っていることを示すものです。この証明書を持っていれば、ドローンの仕事や趣味で飛ばす際に社会的な信頼を得られます。また、保険会社やレンタル会社などでは、民間資格の証明書があれば割引制度などの特典が受けられる場合もあります。

国家試験を受験するときに、学科や実技試験が免除される可能性がある

2023年7月1日からは、国家試験の受験者に対して一部試験科目の免除制度が導入されました。この制度では、国土交通省が指定した民間資格を持っている場合に、国家試験の学科試験や実技試験の一部が免除される可能性があります。例えば、レベル1の民間資格を持っていれば、一等無人航空機操縦士の学科試験の一部が免除されます。

以上のように、民間資格を取得することには多くのメリットがあります。ドローンに関する知識を深め、継続的にドローンをビジネスに活かしていきたい、という場合はまずは民間資格の取得を目指し、必要に応じて国家資格にチャレンジする、というステップを考えてみるのも良いでしょう。

ドローンに関する注意点

ドローンは、空撮や物流、災害対策など様々な用途で活用されていますが、その一方で事故やトラブルのリスクもあります。ドローンを安全に飛行させるためには、以下の点に注意する必要があります。

ドローンの事前点検

ドローンを飛行させる前には、機体の状態やバッテリーの残量、プロペラやモーターの動作などを確認する事前点検が必要です。事前点検を怠ると、飛行中に故障や制御不能に陥り、人や物に衝突したり墜落したりする危険があります。

飛行コースの設計

また、飛行コースの設計も重要です。
飛行コースとは、ドローンが飛行する経路や高度、速度、方向などを決めることです。飛行コースを設計する際には、地形や気象、周辺の建物や人などの状況を考慮し、安全かつ効率的な飛行ができるようにしましょう。飛行コースの設計には、地図や航空写真などを利用すると便利です。

航空法の知識

ドローンを飛行させる際には、航空法や小型無人機等飛行禁止法などの法令を守る必要があります。

航空法では、100g以上のドローンは政府に登録し、特定の場所や方法で飛行させる場合は国土交通省から許可や承認を得ることが義務付けられています。また、小型無人機等飛行禁止法では、原子力施設や国会議事堂など重要施設周辺300m以内での飛行が禁止されています。
また、都道府県や市町村などの地方公共団体も独自に条例でドローンの飛行制限を定めている場合もあります。

これらの法令に違反すると、罰金や懲役などの刑事罰が科せられる可能性もありますので、ドローンを飛行させる場所や目的に応じて必要な手続きや規制を確認しておくことが重要です。

ドローンが広げる可能性

ドローンは現代の「タケコプター」であると考えています。

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まとめ

ドローンは便利なツールですが、それだけに責任も伴います。ドローンを安全かつ法令に遵守して飛行させるためには、事前点検や飛行コースの設計を学び、航空法など法令を知っておくことが必要です。

民間資格や国家資格を取得することは、ドローンの知識や技能を身につけるだけでなく、飛行許可や承認の手続きを簡略化するメリットもあります。ドローンに興味がある方は、ぜひ資格取得に挑戦してみてください。